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ホテルジャンキー村瀬千文とホテルにまつわるヒト・モノ・コト

パリのプチホテル、ドアの向こうから聞こえてくるパリジェンヌの人生

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冬のパリの朝、こんなふうに空が明るくなるのは8時すぎ。

まだ暗い中、1階の朝食レストランに降りていくと、一番乗りだった。

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19ユーロの「朝食ビュッフェ」。ビュッフェとはいうものの、ビュッフェ台があるわけではなく、食べたいものを言うと出来たてのものが出てくるシステム。

オレンジジュースは搾りたて(ドアの向こうのキッチンで絞っている音が聞こえてくる)で香りが立っておいしい。籠に盛られたショコラとクロワッサンとプチバゲット。これがどれもとびきりおいしい。なぜか今だにこれだけは日本では食べられない味だ。

オムレツはチーズ入りを頼んだ。フランス風に半分折りで端っこにちょっと焦げ目がついている。バターをたっぷり使っており、とてもおいしい。

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早朝でわたししかお客がいない。ひまである。

キッチンとの間の「privéプリヴェ)」と書かれたドアの向こうで、朝食を作ってサービスしてくれる若い女性と、後から出勤してきた中年の女性との会話が聞こえてくる。

中「彼女がいったい何歳で◯△(聞き取れず)を始めたと思う?」

若「わからないわ、何歳の時?」

中「◯△歳(聞き取れず)の時なのよ、これって、信じられる?」

若「すごいわねぇ!その年で何かを新しく始めるなんて!」

しばらくその彼女の話が続いた後、中年女性がしんみりとした声で言った。

中「ねぇ、わたしも変われるかしら?」

若「もちろんよ! 新しいことを始めようっていう気持ちがあれば、変われるものよ」

中「そう?…ウィ、そうよね、気持ちの問題が大切なのよね」

若「ウィ、ウィ!」

セ・ラ・ヴィ。