パリに来たきっかけが、あるホテルの住所だったことは、本ブログでも書いた。
「この話はまたあらためて、明日。」と書いたまま、書いていなかった。ごめんなさい。
というのは、とてもとても長い話になるから。
ホテルの窓からパリの空を眺めながら、ちょっと書いているうちに、やはりものすごーく長くなってしまったので、長文版は次号の情報誌「ホテルジャンキーズ」に載せることにし、ブログの読者の皆さんにはダイジェスト版で。
さて、なぜ、パリに行こうと思ったのか。
パリへ出発する10日ほど前のことだった。
ホテル情報を検索していたところ、あるホテルの住所がパッと目に入った。
44 Rue Madame
キャラント・キャトル リュー・マダム
あ、あのホテル、わたしがパリに行くといつも泊まっていた、あのホテルだ!
そう、そう、住所に発音がむずかしい「R」が多いので、いつもタクシーで行き先を告げるときは気合が必要だった。
ところが、みるとホテルの名前は変わっている。
そうか、オーナーのムッシューももう年だし、きっと売り渡して持ち主が変わり、リニューアルでもしたのだろう。
「リュクサンブール公園の入り口からすぐ」という、そのホテルの説明を読んでいるうちに、どんどん記憶が蘇ってくる。
朝はリュクサンブール公園をちょっと散歩してから、近所のブーランジェリー(パン屋さん)で早朝からきりっとしたお化粧をしたマダムから焼きたてのショコラとパンオレザンを買い、ホテルの部屋で通りを見下ろしながら朝食。
1ヶ月くらいの長期滞在をしたこともあった。その間、ミラノに用があって出かけている最中にイラクのクウェート侵攻で湾岸戦争が勃発。ミラノはイラクの空爆エリアに入っており危険とされたため、パリに戻ったらムッシューがえらく気を揉んで心配していた…。
シャルマン(英語のチャーミング)という言葉が持つ深い意味について教えてくれたのも、彼だった。
などと書いていると、ついどんどん長くなってしまう、そんなわたしにとっては思い出深いホテルで、
《わたしのパリ》には欠かせないホテルだった。
どんなふうに変わったのだろうか?
パティオがあるなんて説明には書いてあるが、ムッシューが買えなかったという建物のほかの部分も買い足したのだろうか?
そう考え始めると、もういてもたってもいられない気持ちになり、
そうだ、パリ、行こう!
となった。
というのが、今回のパリ旅行のきっかけだ。
そう、目的は、ただ、それだけ。
あのホテルに再会するため、わたしはパリへと旅立った。