1998年10月、アマンリゾーツの創業者であるエイドリアン・ゼッカがアマンを追われるはめになった。その時、株を握ることにより、ゼッカに替わってアマンを乗っ取った(ゼッカの側から言えば)のが、不動産投資会社コロニー・キャピタルのトーマス・バラックだった。
(写真はColony Capital のサイトからお借りしました)
実はこのバラック氏、いま時の人であるドナルド・トランプ氏を支持する大富豪3人衆のひとりとして、アメリカのメディアにしばしば登場している。
このバラック氏とは、どんな人物なのか。気になって調べてみた。
祖父母の代にレバノンからアメリカに移民してきたキリスト教徒で、大学時代はラグビーチームのスター。サンディエゴ・ロースクールを卒業後つとめた法律事務所はニクソン大統領のホームロイヤー。その後、サウジアラビアに渡り、サウジアラビア皇太子の仕事などを経て、テキサスの投資家ロバート・M・バス(バブル崩壊後、ニューヨークのプラザホテルを青木建設から買収した)の代理人をつとめ、1990年にはバス・グループ、GEキャピタルなどから出資を得て「コロニー・キャピタル」を創業。台湾の著名な財界人で政治フィクサーとしても知られる故 Koo Chen-fu(辜振甫)からものちに出資を得ており、不動産投資会社としては、現在世界で3番目の規模。
ホテルへの投資は、ホテルジャンキーにはなじみが深い銘柄を狙っており、シンガポールの「ラッフルズホテル」で知られるラッフルズ・インターナショナル、
(写真はラッフルズ・シンガポールの公式サイトからお借りしました)
そして、フェアモント・ホテルズ、著名投資家アガ・カーンが開発したリゾートとして有名なサルディニアのリゾート会社、個性的な超高級ホテルで知られるワン&オンリーも。
ところがなぜか、インターネット百科事典 Wikipediaでは、コロニー・キャピタル、トーマス・バラックの記事中にはアマンリゾーツの買収の件は一切出て来ない。アマンリゾーツの記事中には出てくるのだが。不思議だ。
ちなみに、トランプ支持者の大富豪3人衆の残りのふたりは著名投資家のカール・アイカーン氏とアンドリュー・ビール氏だが、この両氏、そもそもは8月5日付の記事
で書いたカジノ運営会社、トランプ・エンターテイメント・リゾーツが2009年に破産法適用の申請(実は同社による申請はこれが3度目!)をした際に、経営権を守りたいトランプからその経営権奪取すべく結託して戦った人たちだ。
きのうの敵は今日の味方。