フランスの新大統領エマニュエル・マクロン氏と
24才年上のブリジット夫人の報道を見ながら
思い出した言葉がある。
「エ・アロール」
だから?
かつて、ミッテラン元大統領が
愛人と娘の存在について
突撃質問したつもりの記者に
いぶかしげな表情でこう言った。
「ミッテラン大統領に隠し子!」
という見出しのニュースにはなったものの
「だから辞任だっ!」にはならなかった。
実はミッテラン氏の大統領在任時に
パリ出張したことがあるのだが
そのとき泊まっていたホテルのマダムに
「近くでどこか良いレストランないかしら?」
と尋ねたところ、
そこにいた近所の店のマダムと顔を見合わせ、
「あそこしかないわよね。
ミッテラン大統領も彼女と娘を連れてよく来てるし」
と紹介してくれたのが
「ル・プチ・コロンビエ」
こじんまりした田舎風のつくりのレストランで
「大統領もおみえになるんですって?」と聞くと
「いつもお二階に」と上を指差し
「”ごく親しい”ご家族といらしてますよ」とウィンク。
つまり、ミッテラン大統領に愛人と娘がいることは
フランス国民の間では周知の事実だったのだ。
フランス人はそういうの、ぜーんぜん気にしない。
だから、24才年上妻ってことも、
他国で騒ぐほど不思議なことではないだろうとおもう。
こういう国民性による「気になること」「気にならないこと」
ホテルにおいてもけっこうある。
*一番上の写真は、昨年フランスで出版されたミッテラン氏が愛人のアンヌ氏に送った1218通の手紙集「アンヌへの手紙」の表紙。版元のGallimard社のサイトよりお借りしました。