ロンドンの夕刊紙「イブニング・スタンダード」のインタビュー記事 (2015年1月22日付)で、「ロシアのドナルド・トランプ」と呼ばれているのが、アマンリゾーツのオーナー、ドローニン。
ドローニンとトランプ米大統領候補。このふたりには共通点がある。
まず、ふたりとも不動産ディベロッパー。トランプはいいとこの坊ちゃんで、ドローニンは出自不明だが、たぶんおそらく徒手空拳のセルフメイドマンであろうという違いはあるけれど。
そして、ふたりとも並ならぬ才覚と卓越した行動力で、急階段を三段のぼりくらいで駆け上って今の地位を築いた男たちである。
トランプもなんだかんだといっているうちにまさかの米大統領候補になったし、ドローニンも次に狙うはロシア大統領の座か…なんて、コワイことは、おくびにも出さないにちがいない。だって、プーチン大統領だもの。
このプーチン大統領とドローニンの関係、先日の記事でご紹介した「タイガー・サミット」↓
アマンの新オーナー、ドローニンの夏のヴァカンスの場所とそのお相手
これだけの関係ではないようだ。
「ロシアのビヴァリーヒルズ」と呼ばれるモスクワの西の郊外のルブリョーフカ地区。地価はマンハッタン並みで、超付きのロシアン・セレブたちが住む街として知られ、プーチン大統領もここに邸宅を持っているが、昨日の記事でご紹介したドローニンのザハ・ハディド設計の邸宅は、ここにある。
そして、ふたりの年表を並べてみて、発見。プーチン大統領は、1952年10月7日、サンクトペテルブルグ生まれ。そして、そのちょうど10年後の1962年11月7日、おなじくサンクトペテルブルクでドローニンは生まれた。ふたりは同郷なのだ。
さらに、1985年、KGBに就職したプーチンは東ドイツのドレスデン駐在となったが、おなじく1985年、ドローニンはスイスのジュネーヴに移り、マーク・リッチの元でトレーダーとして働きはじめた。ふたりは同じ時期に時代が大きく変わる最中にあったヨーロッパに住み、ベルリンの壁の崩壊を経験している。
ドローニンの就職先であるマーク・リッチという男だが、これまたまたふつうの男ではない。「フォーブス」誌の2010年度版「世界の長者番付」で937位の富豪で、原油のスポット市場を考案し、世界最強のメタル・トレーダーとして知られた男である。
ドローニンの誕生日である11月7日はロシア革命記念日(十月革命の後、ソビエト政権ができた日)。ロンドンの夕刊紙「イブニング・スタンダード」のインタビューで彼はうれしそうに語っている。
「誕生日がロシア革命記念日と同じだなんて、信じられますか? 毎年、わたしの誕生日には大きなパレードがあるんですよ!」
そんな彼の体内に宿る野望は、アマンリゾーツのオーナーくらいではすまないだろうな、とわたしは思う。
※ ページトップの写真は「イブニング・スタンダード」紙のサイトよりお借りしました。