ホテルオークラ東京のコーヒーショップ「カメリア」で先日食べたこの味が今だに忘れられない。これを食べるためだけ、それだけのために、またぜひ、否、絶対に行こうと思ってます、わたし。
いわゆる普通の「ピーチ・メルバ」は桃をコンポートにする。それはそれで美味しいし好きなのだが、本当に美味しい桃の場合、フレッシュのままで使うと、また別の味わいになる。バニラアイスクリーム、フレッシュの桃、生クリーム、ラズベリーソースが織りなす味のハーモニー。
食べると幸せになれるスイーツです。
この「ピーチ・メルバ」、実はホテルで生まれたスイーツである。
18世紀末、ロンドンの「サヴォイ・ホテル」の料理長だったオーギュスト・エスコフィエが、
当時一世を風靡していた歌手のネリー・メルバのためにつくったものとされている。
このスイーツはあっという間に世界に広まり、生クリームやカスタードソース、アーモンドスライスが添えられたりなど、さまざまなバージョンが登場したが、これにエスコフィエは怒り、「完熟した桃とバニラ・アイスクリーム、フランボワーズのピュレ」のみを使うのが正式なもので、ほかは認められないと抗議までしている。
ちなみにエスコフィエはメルバのために、メルバの名前を冠した料理をほかにもつくっている。メルバ・トースト(ごく薄切りのカリカリに焼いた小ぶりのトースト)、メルバ・ソース(ラズベリーと赤すぐりのピュレ)などで、どうやらメルバはラズベリーがお好みだったようだ。
ロンドンのサヴォイ・ホテルといえば、「情熱大陸」に出た町田徹さんが現在、チーフ・コンシエルジュをつとめているホテルですね。
(写真はサヴォイ・ホテルの公式サイトからお借りしました)