同じ鎌倉でも、エリアによってまったく異なる表情を見せる。
それもかなり細かく分かれており、歩いて5分の距離でも、通りの風情も建っている家も歩いている住人も流れている空気すらもちがう。
まだまだ新参者につき探索の途上だが、これまで踏破したなかで、ワイルドさで抜きん出ているのは大船。初めて訪れたときは、「なんか中国にいる気分…」と思った。頭にパッと浮かんだ言葉は、生命力。
上の写真はそんな大船にある小さなイタリアンレストランでフィレステーキを頼んで出てきた皿。焼き方どうしますか?なんてことは聞かず、ミディアムレアでどんと出てきた。店内はほとんどが女性客だが、みなさん、人の目なんて気にせず、がんがん食べている。
一方、こちらはソフィスティケイト系。
由比ヶ浜にあるビルの2階、古民家を改装した風(実際は古い建材を内装に使っているだけだと思われる)に作られた洒落たインテリアのスペインレストランで、スペインでもフランスと国境を接するバスク地方で修行したというシェフが繰り出す料理は、いわゆる日本でよくある野趣あふれるスペイン料理ではなく、繊細な味つけで工夫をこらした洗練されたもの。
そうすると、ソパ デ アホ (にんにくのスープ)が
⇩ こんな風になる。
最初に運ばれてきた深皿には揚げにんにくの上に卵黄がのったものしか入っていない。あれぇ、こんなの注文してないけど…と思ったところ、そこに熱いスープを注いで、ハイ、「卵を混ぜない味と混ぜた味と、両方の味をお楽しみください」。
このソパ デ アホ 。スペインの家庭料理のひとつでわたしもときどき作る。
作り方をご参考までに書いておくと、
1)つぶしたニンニク(かなり大量の方がおいしい)をオリーブオイルで炒め、香りがでたら、
2)一口大に角切りにしたバゲットと生ハム(なければベーコン)を一緒に炒め合わせ、
3)スープ(わたしはチキンコンソメを使う)を注いで10分ほど煮込み、塩で味を調整し、
4)溶き卵をさっと流し入れ、半熟になったところで火を止め、
5)スープ皿に注いで、ブラックペッパーをガリガリかける。
という実に簡単なもの。
風邪のひきかけや、体力・気力が落ちているときによく効くが、硬くなったバゲットとニンニクと卵があれば作れるので金力が落ちているときにも。