「私に出資しないか?」
今から21年前、ひとりの中国人の男がニューヨークに乗り込み、こう話しかけた相手は、ジョージ・ソロス。この男を見込んだソロスは2500万ドル(約25億円)の投資を決めた。
「この男」とは、海航集団の創業者のチェン・フェン氏。現在、62才。
(上の写真は、海航集団のサイトからお借りしました)
今回、ラディソン・ブルなどのホテルブランドで知られるホテルを世界115ヶ国で1400軒所有しているアメリカのカールソン・ホスピタリティー・グループを20億ドル(推定)で買収した
海航集団とは、「中国のハワイ」といわれる海南島をベースにしたHNAグループと呼ばれるコングロマリット企業で、中国第4位の航空会社である海南航空などを傘下に持っている。
この海航集団、実は先日のスターウッド買収の際にも当初、名乗りをあげていた。
昨年11月、マリオットの登場前、まだハイアットが買収先として取りざたされていたときに、買収の名乗りをあげた中国系企業3社のひとつだった。
海航集団の創業者のチェン・フェン氏は、1993年、40才のとき、ボーイング737 一機のみで海南航空を創業し、2014年にはブルームバーグの記事で「Chinese Tycoon チャイニーズ・タイクーン」と呼ばれ、大物扱いされるまでになった。
北京育ちで、父親は共産党の幹部だったとはいえ中堅どころ。文革時に人民解放軍の空軍に入隊したのをきっかけに、航空ビジネスにめざめたと言われている。
ホテル関係への投資は、スペインのホテルチェーン、NHグループの株式の29.5%を取得しているほか、昨年、10月にはアフリカのホテル・カジノ・グループにも出資。
この男もまた、ホテル王を狙っていると思われる。