ホテリエ人生のなかで、もっとも避けたいのが、勤務中のホテルでのゲストの自殺だという。
6月8日、そんな事態にはからずも遭うはめになってしまったホテリエがフランス・アルザス地方カイザスベルク村のホテル「ル・シャンバール Le Chambard」にいる。
テレビの料理&旅番組「Parts Unknown(邦題は「アンソニー世界を駆ける」)」の取材のため同ホテルを訪れていたアンソニー・ボーディン氏が館内で首をつって死亡しているのが発見されたのだ。
ホテルにおけるゲストの自殺問題については本ブログでも以前書いたことがあるが
ホテルにとってはさぞかし頭が痛いことだろう。
アンソニー・ボーディン氏は、世界のグルメをテーマにした旅番組を持つアメリカのセレブ・シェフで、オバマ大統領とも親しいことでも知られていた。
2016年5月にオバマ大統領(当時)がベトナム・ハノイを訪問した際には、いわゆるB級グルメのベトナム風つけ麺「プンチャー」の地元店にオバマ大統領を連れて行き、プラスチックの椅子に座らせ、一人前3ドルの麺を共に食べ話題になった。
そんな親しい関係から、オバマ元大統領は弔辞を送ったが、
ことオバマ大統領についてはものすごいライバル意識を持っているらしいトランプ大統領も、わざわざG7の記者会見の場で弔辞を。いわく
「今朝、起きて、彼の死を知って、ものすごく驚いた。彼の番組はいつも楽しく見ていたし。彼は・・・ "quite a character なかなかおもしろい奴" だった」と。
交友はなかったようだ。
*「 Le Chambard」」の写真は同ホテルの公式サイトより、アンソニー・ボーデイン氏の写真は同氏のインスタグラムよりお借りしました。