マイケル・D・コーエン。50才。
本人のSNSのプロフィールによると
「Personal Attorney to President Donald J. Trump
トランプ大統領の顧問弁護士」
トランプ・オーガニゼーションのヴァイス・プレジデントでもあるが
その仕事の内容は明らかではなく
巷ではトランプ氏のトラブル・シューターとして有名な男である。
ニューヨークタイムズ紙などは「トランプの歩兵」と呼んでいる。
そして、トランプ氏の”忠犬”というか”闘犬”として知られる。
トランプ氏に憧れ、スーツの着方やロングタイなど服装まで真似し、
トランプ氏が黒と言えば、たとえ白いものでも黒と言い張り、
「トランプ氏に文句がある奴は、俺が相手になるぜ!」と
脛に差しこんだピストルを使うのも辞さないコワモテで立ちはだかる
トランプ氏にとってこれまではそれなりに使い勝手があった存在だった。
が、ただいまロシアゲート疑惑の調査対象の人物として「戦列離脱」中。
その疑惑のひとつとなったロシア関係者との密会、
今年の1月、ウクライナの反体制派政治家と会ったホテルとは、
ニューヨークのパーク・アヴェニューにある
「ロウズ・リージェンシー」。
密会場所はパークアヴェニューを見下ろすスイートか
それとも、パワー・ブレックファスト発祥の地といわれる
「ザ・リージェンシー・バー&グリル」だろうか?
この「ロウズ・リージェンシー」というホテルだが
ラグジュアリーホテルとアメリカのメディアでも書かれてはいるが
率直にいうと、二流の一流といったところ。
コーエン氏の行きつけホテルなのか、それともウクライナ側の指定なのか、
ここを選んだ理由はわからないが。
ところで、コーエン氏とはどんな人物なのだろう?
気になって調べてみた。
トランプ氏と同じニューヨークのクイーンズ地区のロングアイランド生まれで
母は看護婦、外科医の父親はポーランド系ユダヤ人でホロコーストの生き残り。
妻の一族はウクライナ出身である。
ワシントンのアメリカン・ユニヴァーシティ在学中に
法律の勉強のかたわら高級車の輸入ビジネスを手がけ
妻と共にタクシー会社の経営で資金をつくると
マンハッタンの小さなビルなど不動産を買っては高く売り
資産を増やしていった。
自家用車はポルシェやベントレー、
結婚式はアッパーイーストの高級ホテル「ザ・ピエール」で挙げた。
上昇志向が強く、贅沢な生活に強い憧れを持っていたと言われるが、
そんな彼にとってトランプ氏とは
こんなふうになりたいと憧れる「アイドル」であり
「良いお手本」だったのかもしれない。
トランプ大統領は6月29日にワシントンの「トランプ・ホテル」で開催された
募金活動の場でコーエン氏について、
「彼とはもう一月ほども会っていないが」とした上で
「マイケルは立派な弁護士だ。忠実で、素晴らしい人物だ」と持ち上げ、
「I miss you, man, 君がいなくて淋しいよ」。
一見すると、コーエン氏のことを讃美している。
が、しかし、
「これまでのおつとめ、ご苦労さん。元気でな」
とも取れる。
「歩兵」は去るのみ、かも。
*「ロウズ・リージェンシー」「ザ・ピエール」の写真はそれぞれのホテルの公式サイトからお借りしました。