その日、モスクワのリッツカールトン・ホテルの部屋で何があったのか。
ゴールドがことのほかお好きで、トランプタワーの自邸のインテリアもゴールドが基調、ホワイトハウスの執務室のカーテンもゴールドに替えたというトランプ大統領、モスクワでもゴールドを多用したVIP用の特別スイートにお泊まりだったのだろうか。
英国の諜報機関よりアメリカが知らされた、トランプ氏ロシア滞在時の「機密情報」。
ホテルマンたちは、たとえ知っているとしても、口が裂けても言えまい。
かつて七つの海を支配した英国は、さすがにそのあたりは周到である。
グランドハイアット・ソウルに泊まったときにホテルマンに聞いた話だが、
英国のチャールズ皇太子と故ダイアナ妃が、1992年11月に韓国を訪問し、グランドハイアット・ソウルに泊まったときのこと。
その翌月12月には正式に別居生活を発表した皇太子夫妻だが、当時すでにふたりの不仲は公になっており、ホテルマンたちの関心はただひとつ。
ふたりがどこに寝るか。
宿泊した部屋は「プレジデンシャル・スイート」337平米。7室からなるが、ベッドルームは1室のみ。
おおかたのホテルマンたちの予想では、ダイアナ妃がベッドルームを使い、
皇太子はリビングルームのソファで寝る
(ベッドの搬入はなかったそうなので)
…だったそうだ。
英国皇太子、ひとりソファに寝るの図…ちょっと情けないが。
このスイートルーム、バスルームはひとつしかないし、大きなバスタブも甘くはない関係のふたりにとっては、ただ不便なだけだったろう。
皇太子夫妻が到着する数日前には、
英国大使館よりセキュリティー関係者が訪れ、部屋を念入りにチェックしたうえで、以後、誰も出入りできないように出入り口を封鎖、ドア前にはセキュリティを常駐させた。
皇太子夫妻が滞在中は、
部屋の清掃、料理のデリバリーなどもすべて英国関係者が行い、ホテルマンたちは部屋に入ることができなかった。
そして、皇太子夫妻が出発した後、
ホテルマンたちが部屋に入るのを許されたときには、すでに英国関係者が髪の毛一本落ちていないよう、完璧に清掃を行った後。ゴミ箱はもちろん空だし、リネン類もすべて入れ替えられ、好奇心旺盛なスタッフが虫めがねを使って見てみても(笑)、みじんの痕跡も残っていなかったとのこと。
さすがに世界一の諜報機関を持つ国である。
トランプ大統領も、そのくらいやっておけばよかったのに…。
いや、でも…もしかして、
トランプ大統領、映画「ゴールド・フィンガー」におおいに学んでいるのかも。
「マスコミの言うことは耳栓をして聴くべし」
映画では、
「ビートルズは耳栓をして聴くべし」。
*「リッツカールトン・モスクワ」の写真は同ホテルの公式サイトよりお借りしました。グランドハイアット・ソウルの写真は同ホテルの公式サイトよりお借りしました。