母、83才。すこぶる元気で、お出かけの際の食事選びには苦労する。聞けば「何でもいい」という。けれど、一度たりとて何でもよかったことはない。
ホテルジャンキーズクラブの会員で情報誌「ホテルジャンキーズ」で「食べるホテル日記」を連載中の島埜あき子さんから届いた次号用の原稿を読んでいたら、もう、これ以上ないくらい私の気持ちにぴったりで共感するフレーズがあったので、ひと足お先に公開させていただきたい。
《何でもいいという人に限って、何でもいいということはなく、こちらが相手の好みを推察する必要があるのだ。言った本人は気がついておらず、結果が伴わなかったときには大ブーイング》
そう、そう、そう、ほんっとうに、そうなんですよね。ちなみに島埜さんが書いているのは、ご主人について。
さて、日曜日は銀座で午前中からちょっと時間がかかりそうな用があったので、帝国ホテルのパークサイドダイナーで朝食を、「パンケーキ・ブレックファスト」を食べることにした。ここのパンケーキは以前にも二度食べに来ており、ご満足いただけた。しかし、二度あることは三度ないこともある、ことを今回学んだ。
朝食の場合、パンケーキにはホイップバターとメープルシロップが添えられているのみで、通常のようにフルーツなし、はちみつなし。サワークリームはリクエストすると出してくれる。フルーツ添えにすると別料金が700円くらいかかる。
卵料理はつかず、これにミート系(ハム・ベーコン・ソーセージ)かサラダが付く。ジュースとコーヒーがついて、3200円+サービス料10%で合計3520円也。
料理がひととおり並んだところで、「これだけ?」と母。ほかのホテルのように、卵料理やサラダ、フルーツなどがつかないんだね…とは口では言わない、けれど、その目が、顔が、語っている。
母いわく「文句ではない、意見を述べているだけ」だそうだが、母に海外のホテルではパンケーキにミート系だけ添えるっていうのは、よくあることでね、と言っても通じないし、次回からは朝食でパンケーキはやめようっと、思うだけ。
ただし、厚切りのハムとソーセージについてはお気に召したようで、「その辺のスーパーで買うのと違って、あれは美味しかったね」と何度も言っていた。