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ホテルジャンキー村瀬千文とホテルにまつわるヒト・モノ・コト

かつて「鎌倉海濱ホテル」というホテルがあった。

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「鎌倉別荘地研究会」という会に参加させていただいていることは以前にも書いたが、

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日本で初めてのビーチリゾートホテル

「鎌倉海浜ホテル」と逗子でブランチ

 

この会を主宰している郷土史家の島本千也さんが、会のメンバーで鎌倉中央図書館の平田恵美さんと共著で「鎌倉海濱ホテル 日本初の海浜リゾートホテル」という本を出版された。

 

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「鎌倉海濱ホテル」とは、

《湘南の帝国ホテルを目指し》明治21年に由比ヶ浜に開業したホテルで、支配人は外国人。ロシア革命の際には亡命ロシア人が長期滞在し、第二次世界大戦中には避難してきたドイツ人たちが滞在した。

この本に掲載されている往年のホテルのモノクロ写真を眺めていると、かつてそこに流れていた豊かな時間が感じられる。

江藤淳さんが「渚ホテルの朝食」という本で、

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《昔は鎌倉にも海浜ホテルというのがあって、戦争が激しくなった頃には毎日その前を徒歩で学校に通ったけれど、この方はたしか戦後いつの間にかなくなってしまった。》

と書いているとおり、戦後まもなく占領軍の接収時に米軍兵士が倒したストーブの火により出火して焼失し、その57年の歴史を閉じた。

いまは跡形もない。

ああ、このホテルが鎌倉に残っていたら…とつくづく残念に思う。