裏門を出ればすぐにビーチがあり、6000坪の敷地にはボート遊びもできる広大なラグーン(池)やテニスコート、広い庭の芝生がある、割烹旅館で料理はうまい、GM(総支配人・女将)は料亭の女中頭だった女性で行き届いたサービス・・・
そんなリゾートホテルが、かつて鵠沼海岸にあった。
顧客リストには谷崎潤一郎、芥川龍之介、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)をはじめきらぼしのごとく文豪たちが名前をつらねていた。
そのホテルの名前は「東屋旅館」、英文名は「Azumaya, Hotel」。
1890年代にオープンし、1939年にクローズしたが、その約半世紀の歴史をたどると、リゾートホテルとしてかなりレベルが高かっただろうと推察される。
さて、きのうはそんな「東屋旅館」について作家の佐江衆一さんが語る講演会があり、参加した。
定員40名の予定が希望者が多く、3倍の120名に増やしたという盛況ぶり。
講師の佐江衆一さん。藤沢市在住、軽妙なお話で地元でも人気者。
ああ、いまこのホテル(旅館)がここに残っていたらなぁとつくづく、つくづく、残念に思う。
そんな素晴らしかったであろうと思われる”今は亡き”ホテルが、湘南エリアには、ほんとうに多い。
*一番上の写真は藤沢市文書館蔵の絵はがきを転載した「ふじさわびと」Vol.11よりお借りしました。
*「東屋に集まった主な文人たち」のリスト写真は、講演会「割烹旅館東屋の人びと」〜鵠沼をめぐる人びと・東屋に集まった作家たち〜(藤沢市アートスペース主催)よりお借りしました。