【トランプ（会社）がトランプ（連邦政府）にホテル救済を頼んだ】
こんな皮肉たっぷりの見出しをつけたのは４月２１日付のニューヨーク・タイムズ紙。
『トランプ・インターナショナル・ホテル・ワシントンD.C.』について、トランプ・ファミリーの会社が「今、すごーく困っているのは我が家も同じなんだからぁ」と家主である連邦政府に対して家賃減免を要請した。
なぜかって？ 「新型コロナウィルスでお客が減っちゃってぇ、売り上げが減っているからぁ」と言っているのは、パパ（大統領）からホテル経営を任されている（ことになっている）息子たち。
同ホテルは２０１３年に連邦政府と締結した６０年間の賃貸契約により、月額賃料は２６８、０００ドル（約２９００万円）。
この交渉の窓口になっている連邦政府の担当部門は頭をかかえているらしい。
同紙によると、「トランプ・ファミリーの要求を拒絶すればトランプ大統領（組織のリーダー）の不興を買う恐れがあるし、要求に応じれば世間からの批判にさらされるだろう」。
ホテルは稼働率が５％にまで落ち込み、１７４名中１６０名の従業員がレイオフされたそうだ。オープンはしているものの、バーやレストランなどの料飲施設はワシントンD.C.の市の命令により営業休止中だ。
新型コロナウィルス問題ではトランプ大統領は一国の大統領としての対応が求められているが、同時に彼の頭の一部（それもけっこう大きいと推察される）を確実に占めていると思われるのが、トランプ・ファミリーの家業であるホテル＆ゴルフ・ビジネスへの影響。
ワシントンD.C.のホテルには、愛娘イヴァンカの名前をつけちゃったスイートもあるのに。
既にラスヴェガスなどの４軒の傘下ホテルが一時休業に追い込まれ、ニューヨークやワシントンD.C.など３軒のホテルで従業員のレイオフが行われ、サービスも縮小。
米国内のゴルフ場もフロリダの「マール・ア・ラーゴ」を含む３軒が営業休止中。
トランプ・インターナショナルは全米で７軒のホテルを所有しているが、うち３億ドルがドイツ銀行からのローンと言われている。今や、彼自身の資産も危機に瀕しているようだが、
さて、
これまでも「利益相反」を何度となく突きつけられてきてもどこ吹く風だった大統領がどう動くか、注目されている。
