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ホテルジャンキー村瀬千文とホテルにまつわるヒト・モノ・コト

ラストリゾートとしてのホテル 〜3.11 東日本大震災時のホテル対応事例(6)

ホテルオークラ東京ベイ


舞浜のディズニーパークにも近い千葉県浦安市ホテルオークラ東京ベイは、交通機関のマヒにより帰宅困難となったディズニーパークのゲストを受け入れることになった。

総支配人室営業企画課の今澤智路さんも当日は対応に追われた。
「私は、震災当日は主に情報収集にあたっておりました。当日の宿泊の予約稼働率は、ほぼ満室でした。地震発生時はレストランのランチ利用ゲストとチェックイン前のゲスト、謝恩会参加の宴会ゲストがホテル館内にいらっしゃいましたが、特に混乱もなくお客様を避難誘導することができました。その後、客室内の安全確認、周辺道路の安全を確認後、宿泊ゲストはチェックインを開始、謝恩会列席の生徒さん父兄をホテルバスにてお送りいたしました。

また、交通機関マヒ状態でディズニーパークからの帰宅困難者等、200名弱ほどの方々をホテルの宴会場やレストランで受け入れました。受け入れたお客様の団体のなかにディズニーパークへ卒業旅行中の板橋区内の中学生2校の団体を受け入れ、お世話させていただきました。

宿泊ゲストへは電気、ガス、水道等が不安定で、十分なサービスをご提供できないことからレストラン2ケ所において無料にて夕食と翌日の朝食を提供いたしました。帰宅困難者のゲストの夕食は、早くにホテルにいらした一部のゲストにはレストランでのバイキングを召し上がっていただき、遅くにホテルにいらした一部のゲストにはおにぎりをご提供いたしました。おやすみ時には、毛布、ミネラルウォーターを。朝食は朝食パンとコーヒーをご提供いたしました」

震災から一週間後、浦安市の一部が液状化現象により水道、ガスなどのライフラインが寸断されたため、浦安市からの要請に市内各ホテル等が賛同し、住民の方々にお風呂を提供するなどの支援を行うことになった。また、同ホテルは自主的に格安料金にて宿泊を提供した。

「当ホテル客室ではお風呂のご提供に、期間中延べ3700名強の方々が利用されました」

前述の板橋区の中学生のお世話には、スタッフたちを喜ばせた後日談がある。

板橋区教育委員会と学校から感謝状をいただきましたが、一緒に生徒様より色紙に直筆のメッセージをいただきました」

小さいけれど大きい、将来の『顧客』が生まれたようだ。

<続く>