きのう、カレーの記事を書いた後で思い出したことがある。
カレーに添えて出されるカトラリーは、日本のホテルの場合、フォークとスプーンの2本であることが多い。
以前、帝国ホテルの副総支配人の犬丸さんとお話していたときに、何かの拍子にカレーの食べ方についての話になった。その際、犬丸さんがおっしゃったことが今でも忘れられない。
「子供の頃、カレーをスプーンで食べようとしたら、じいちゃん(帝国ホテルの元社長の犬丸徹三氏)に、『カレーはリキッド(液体)ではない! フォークで食べるものだ!』って叱られてさ」と。
故犬丸徹三氏(写真はwikipediaよりお借りしました)
なるほど、スプーンはリキッド(液体)のときに使うと考えればいいのか、とハタと納得がいった。
以来、カレーを食べるときにスプーンを手にすると、『カレーはリキッド(液体)ではない!』という初代犬丸氏の厳しいお叱りの声がどこからともなく聞こえてきて、思わずフォークに持ちかえるようになった。
先日、そんな話を戸張さん(元ホテル西洋銀座総支配人、現ロイヤルパークホテル ザ羽田総支配人)としていたら、料飲畑が長かった戸張さん、「カレーはフォークで食べるものって教えられたから、ずっとフォークを使っていたんだけれど、タイ人の女房と結婚してから、ついスプーンで食べるようになっちゃった(笑)」と。
そう、タイ人はスプーンを実に器用に使いまわし、ときにはナイフ、ときにはフォークの代用にも使う。