先日「ワイン会」へのお誘いがあり、参加した。
お酒はほとんど飲めないけれど、テイスティングは好き。
20代のOL時代、モネヘネシージャポン(現LVMH)初代社長で元駐仏大使の北原秀雄氏のセクレタリーだった私は、しばしばフレンチレストランでの接待に同席した。シャンパンのモエ・シャンドン社、コニャックのヘネシー社を傘下におさめる会社だけに、接待の際はシャンパンに始まり、料理に合わせて白・赤ワイン、デザートワインに食後のコニャックまでえんえんと続く。
ある日、お客様が帰ったあと、北原大使がカルヴァドスのグラスを片手に首をふりふり言った。
「キミっていう人は、実にはっきりしてるね。高いワインの時はよく飲むけれど、安いワインの時はぜんぜん飲まない」
何を言われてるのかわからずキョトンとする私に、横に控えていたソムリエが思わず吹き出した。
「たしかにそうでございますね。ムラセ様、きょうはあまりお召し上がりになりませんでした」。その日のワインはどうやら安いワインだったらしい。
当時、ワインについての知識はまったくなく、大使が注文したワインの値段など関心もなかった。が、これをきっかけに、おいしいと思ったワインは後でソムリエに銘柄を尋ね、ワインについてもいろいろ教えてもらい、勉強するようになった。
さて、先日の「ワインの会」。
ワインを飲むから「ワインの会」だと思ってはりきって出かけたのだが、インターコンチネンタル東京ベイ6階の会場には、ワインは赤白各1種類のみ、クーラーに入った日本酒があったりする。
「ワインの会って聞いたんですけど」と尋ねる私に、会を主宰する増田さん(皆生温泉「おーゆホテル」GM 総支配人で、私とはキャセイパシフィック航空勤務時代からの長いおつきあい)は笑いながら「単なる飲み会だよ」とあっさり。
ワインはないけれど、メンバーは明るく楽しい方ばかりで、とにかく和気あいあい、にぎやかで実に楽しい会。お偉い方もずいぶんいらっしゃるようだが、そんな地位や肩書きは関係なく丁々発止のジョークが飛び交う。コーネル大学の日本校、RMPジャパンの首席講師をされている元イトーヨーカドーの伊藤さんも、元部下たちにやりこめられたりしている。
司会者の方が、「みなさ〜ん、もうあんまりバカばっかり言わないでくださいよー。初めて参加されている方が、そういうバカな方々が日本を動かしていると思ってしまうじゃないですかぁ!」と言うほど。
聞くと、この「ワインの会」、もう30年ほど続いている会なんだそう。
メンバーの中に鎌倉在住の方がいらっしゃることがわかり、鎌倉話でおおいに盛り上がり、その場で鎌倉ロータリークラブのメンバーでもある柴田さんと三菱地所会長の木村さんと私で【「ワインの会」系「鎌倉会」】を結成。
「ワインっていう酒はね、人をつなぐものなんだね」とかつて北原大使が言っていたが、ほんとうだ。
* 上の写真はフランス、エペルネーにあるモエシャンドン社の迎賓館、シャトーで昼餐会に参加したとき。